Ecology (エコロジー) 【SDGs 環境保護】

   日本語というのは時代とともに移り変わり、昔と今では同じ言葉でも違う意味になるものがある。例えば、「情けは人のためならず」は現代では「人に親切にすることは必ずしもその人のためにならないこと」だが、昔は「人に親切にすると、それが回りまわって自分のところに帰ってくる」という意味だった。「役不足」も「自分には到底できそうもないこと」の意味で使われることも多いが、本来は、「与えられた役目が自分の実力よりはるかに低いこと」である。後者の場合、正しくは「力不足」だが、いつの頃からか人々の中で別の意味で使われるようになった。言葉は進化していくものなのだろう。

   「エコロジー」という言葉も、元は「生態学」という、生態系、生物の個体、集団の生活、他の生物や環境とのかかわり合いを研究する学問のことであったが、現代では「環境に配慮した、環境に優しい、エコな」など、自然環境を保護する活動や、環境負荷の少ない原材料や製法で作った製品のことを指すようになった。環境問題や公害対策などで、生態系に及ぼす影響を考える時に生態学が応用されたことから、いつの間にか広い意味で環境全般の言葉を持つようになったのだと思う。Googleで「エコロジー」という言葉で検索してみると、0.35秒で17,800,000件がヒットし、「エコロジーとは生態学」のことだ、という定義が解説してあるサイトがまず現れる。しかし、続けて画像検索してみると、ほとんどが森や植物、もしくは透明感のある緑色の環境保護を謳ったサイトが画面に現れる。画像では生態学のイメージは皆目見当たらないところはとても興味深い。これから先は、「エコロジー=環境に優しい」でいこう。

   さて、環境保護では、環境省が「環境基本法」を制定し、その法律に基づいて、毎年、「環境・循環型社会・生物多様性白書」を編纂している。この白書さえ読めば、世にあるSDGsの環境に関する書物を買う必要が一切ないほど内容が濃くて勉強になるのでお薦めだ。また、省内で環境関連の法案づくりや、環境影響評価などを行なう総合環境政策統括官グループは、総合環境政策の一環として、現在では第五次に突入した環境基本計画を推進中だ。これもまた世の中にたくさんのエコロジーの取り組みについての解説やNGOや企業による活動を紹介するサイトがあるが、その中枢として国が推し進めている意義や背景、目標などがよくわかる内容なので、ぜひともご高覧いただきたい。

   では、私たち一般の消費者に身近なエコロジーとは何があるだろう? 

   一番わかりやすいものといったら、買い物をするときにエコロジー製品についている環境表示マークだろう。「エコマーク」は、アルファベットの “e” の形をした両手が、地球を抱きかかえているようなマークである。さまざま商品(製品およびサービス)の中で、「生産」から「廃棄」にわたるライフサイクル全体を通して環境への負荷が少なく、環境保全に役立つと認められた商品につけられている(出典元:公益財団法人日本環境協会 エコマーク事務局HP)。あとはゴミとして廃棄する時にReuse(再利用)やRecycle(リサイクル)をすることために分別を求めるマークが製品に貼ってあるものがある、例えば「アルミ缶」、「スチール缶」、「PETボトル」、「紙製容器包装」、「プラスチック製容器包装」などである。缶ビールやペットボトルを見ると必ずこれらのマークを見かける人がほとんどであろう。あと、あまり馴染みはないが、「グリーンマーク」というのもあり、これは財団法人古紙再生センターグリーンマーク実行委員会による認定マークで、原料に古紙を規定の割合以上利用している古紙利用製品に表示できるマークだ。また、「Rマーク(再生紙配合率マーク)」は、ゴミ減量化推進国民会議の提唱による再生紙の配合率を表したシンボルマークで、古紙パルプがどのくらい配合されているのかが一目で判るようにしたものである。申請や届出は不要で、誰でも自由に無料で使用できる。

   この他にも環境省のHPに、日本中の環境表示マークがまとめて紹介されているので、サイトを貼っておく(https://www.env.go.jp/policy/hozen/green/ecolabel/f01.html)。もしかしたらすべての環境表示マークを集めているマニアな方もいるかもしれない。

   SDGsの17目標中、12番目の「つくる責任 つかう責任」は、持続可能な生産消費形態を確保することを目的としている。私たちにすぐにでもできることは、モノを買うならばエコマークなどの環境表示マークのついた製品を買うとか、ゴミの再利用のために分別をきちんと守ることである。そうした日々の小さなアクションが、天然資源の持続可能な管理と効率的利用、食糧廃棄や廃棄物の削減、化学物質などの放出の低減につながることになる。つくる側の生産者とつかう側の消費者がお互いに良きエコロジストとなり、コラボレーションしつつ環境を保護していこう。

パンチョス萩原