ESGは大手企業を筆頭に、主に企業価値を上げるために本腰を入れて取り組みが始まったが、SDGsに至っては、先日のコラムで紹介した神社仏閣や教育機関も含め、全国津々浦々の自治体でも関心が高まり、多くの活動がなされている。最近は、未だ行ったこともない町々のSDGsの取組事例を読むのが余暇を過ごす楽しみのひとつとなった。
内閣府が選ぶ「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」の選定も今年2020年で3年目を迎え、今年は77の自治体からの応募に対し、33の「SDGs未来都市」と10の「自治体SDGsモデル事業」が選ばれている。昨年の総応募数は57というから、SDGsに取り組む都道府県、自治体が増えてきている。
モデル事業に選ばれた多くの市町村は、決して潤沢に予算があったり、知識が豊富であったり、働き手がたくさんいるような恵まれた環境ではない。地域経済の衰退や高齢化、また震災などで過疎化が進んでいる小さな町や村もある。そこにその地域ならではのアイディアで持続可能な地域の発展を考え出しているのである。具体的には、新たなカルチャーや芸術などを創出したり、多世代が交流できるような地域コミュニティの在り方を実現したり、多くの工夫がなされている。
最先端の産業技術もこうした小さな自治体の再生に大きく寄与していることが選定された自治体の取組を見るとよくわかる。自動運転やスマート技術を高齢者の送迎や介護、医療に役立てたり、クリーンなエネルギー利用による自然破壊の防止や島などの資源の保全、観光イベントや新たな名産品の開発などによる交流人口(観光などで訪れ、地域の経済発展に寄与してくれる人々)を増やすなど、取組を見ているだけでワクワクしてくる。
こうした自治体の取組に対し、私たちにもできることはいろいろある。それぞれの自治体がどのような活動をしているかを知り、SNS等で紹介したり、ビーチクリーン活動やボランティア活動の募集があればそれに参加してみたり、オンラインでイベントに参加したり、ふるさと納税やクラウドファンディングなどで活動を応援する、などである。私たち自身のSDGsに対する関心も増し、実際に貢献できる機会もできるので、心も豊かになる。
上記のほか、外務省でも「JAPAN SDGs Action Platform」のサイトで日本政府のSDGsにおける取組とともに、地域の自治体の取組を紹介している。
皆さんがお住まいの地域でも、きっと何らかのSDGsの取組がされているにちがいない。日本のすべての町々が未来都市に選ばれるようになったら、どんなに素晴らしいことだろうか。
パンチョス萩原(Soiコラムライター)
内閣府HP
2020年SDGs未来都市 (33)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kankyo/teian/2020sdgs_pdf/sdgs_r2futurecity.pdf
2020年 自治体SDGsモデル事業 (10)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kankyo/teian/2020sdgs_pdf/sdgs_r2model.pdf
外務省 JAPAN SDGs Action Plan
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/effort/index.html
2020年 選ばれた県、市町村一覧
北海道室蘭市・青森県西目屋村・岩手県岩手町・宮城県仙台市、石巻市・山形県鶴岡市、飯豊町・栃木県小山市・群馬県・埼玉県春日部市、三郷市、三芳町・千葉県市川市、市原市・東京都豊島区、板橋区・神奈川県川崎市、相模原市、松田町・新潟県、妙高市・石川県金沢市、加賀市、能美市・福井県、勝山市・山梨県・長野県大町市、根羽村・岐阜県、岐阜市、高山市・静岡県浜松市、三島市、富士宮市、富士市、掛川市、御殿場市・愛知県岡崎市、春日井市、犬山市、小牧市、知立市・三重県、いなべ市、志摩市・滋賀県湖南市・京都府福知山市、亀岡市、与謝野町・大阪府、大阪市、豊中市、富田林市、門真市・兵庫県明石市、三田市・奈良県田原本町・鳥取県湯梨浜町、北栄町・岡山県倉敷市、総社市・広島県東広島市・徳島県美波町、松茂町・香川県三豊市・愛媛県松山市・高知県土佐町・福岡県宗像市、宮若市・長崎県対馬市・熊本県水俣市、菊池市・熊本県山都町・鹿児島県鹿児島市、和泊町・沖縄県石垣市