私の個人用のスマホはずっとアンドロイド搭載のXPERIAシリーズであるが、現在の会社から貸与されている会社用の携帯はiPhoneである。 どちらも使い勝手に大差はないが、個人的にデザイン性ではiPhoneの方が上のような気がしてならない。 30年ほど前には白黒画面のMacintosh ClassicやPerforma ではCD-ROMによる学習ソフトで勉強をしていた。 現在のようなネットで何でも手に入るような時代とはほど遠いが、いつの時代も不変であると思われるのはApple社の独創性と卓越した製品ではないだろうか。
そのAppleが先週7月31日のニューヨーク株式市場で好調な業績が好感を受け、上場来の高値を更新し、時価総額が世界最大の1兆8400億ドル(約193兆円)となった。これまで首位であったサウジアラビアの国営会社Saudi Aramcoを抜いた。
Saudi Aramcoは今年で設立してから87年もの歴史を持つが、数々の戦争やオイル利権の受難の中、1988年に国営化され、昨年2019年12月にサウジ証券取引上に上場を果たした石油会社であるが、上場したとたんに時価総額が2兆ドルを超え、世界一となったことで大きく話題となった。その後は株価が落ち、2020年に入ってからは時価総額が1195億ドル減っている。一方、Appleの時価総額は年初から5375億ドル増えた。
両社の違いとは一体何なのだろうか?
もちろん、Appleの時価総額世界一返り咲きの背景にはその前日に発表した好決算であって、これが大きく投資マネーを呼び込んだことは間違いないと思う。 コロナ禍の中、Stay Homeが全世界で実践され、テレワークや自宅学習の機会が膨大に増え、Appleは大きく販売を増やした。 また、株式分割も行なったことで個人の投資家がApple株を買いやすくなったことも要因にあると思う。 次世代の5G対応端末への期待感やコロナが長引くことによるテレワークにおるオンラインでのビジネスや学習需要で、ハイテク株への投資家の思いは熱い現状がある。 これはグーグル、アマゾンも同様に株価が上昇している。
一方、Saudi Aramcoなどのエネルギー株は、現在の原油価格から見た場合に採算が悪化し続けている。私も20代に海洋油田開発のための石油掘削船を保有する会社の経理部にいたことがあり、中国の広州、オーストラリアのパース、香港などでメジャーセブンからの掘削契約のために現地会社の経理業務をした経験があるが、当時は海底3000メートル近くまで石油の鉱脈を目指して掘っても20本に1本ヒットするか博打のような状況であった。しかも商業ベースに乗る埋蔵量がある場合はさらに確率が低くなる。 したがい、原油価格が上がらなければ世界の石油会社は大赤字で鉱脈を見つけなければならなくなるわけだ。 コロナ禍では原油需要はさらに見込めず、石油業界にとってはとても厳しい冬の時代が来ていると言っても過言ではないと思う。
さらに懸念すべきは、ESG投資の広がりで、対策が遅れているエネルギー企業が投資銘柄から外されることが起こり、投資マネーが入ってこないために株価が上がらないことも最近顕著になってきている。
Appleの時価総額世界一よりも、その座を譲ったSaudi Aramcoの現状を垣間見ることにより、ESGに積極的な姿勢を出しているかが会社の明暗を分けていることを感じている。
(パンチョス萩原)